Off Topic #59
オープンメタバースへの大きな壁(前半)- Off Topic #59

2021-03-24 Wed.

このページは、ポッドキャスト番組Off Topicを個人的にまとめたページです。

Summary

  • 要点の箇条書き

    メタバースとは

    メタバースは「次のインターネット」と言われている概念。
    オープンメタバースとクローズメタバースがある。
    1950年代には誰もTikTokを想像していなかったのと同じように、今我々はメタバースの完成形を想像できていない、という状態。
    *補足 語源:ニール・スティーブンスンが1992年に書いたSF小説「スノウ・クラッシュ」に出てくる電脳空間「メタヴァース」。ゴーグルとイヤフォンをしてアクセスする。
    Oculusの開発者もこの作品を幼少期に読んで、強く影響を受けていると話している。https://www.moguravr.com/snow-crash/

    メタバースの特徴

    - 終わらない世界
    - 常に接続されている
    - 誰でも参加できる
    - アクセス人数無制限
    - 自由経済がある
    - データアセットの相互運用性がある

    Fortnite

    メタバースに向けて走っている。
    Epicgamesはメタバースのインフラを作る会社になる。
    しかし、メインはシューティングゲーム。
    Fortniteが用意した世界でしかない(クローズ)。
    トラヴィス・スコットや米津玄師のライブなどはトライしている。
    また、Fortniteの世界に滞在して楽しめるクリエイティブモードも用意されたが、まだメインではない。

    Roblox

    3,200万人のDAU。
    一つのアバターを持って色々なRobloxの世界を体験できる。
    ユーザーが世界を作ることができる。
    Robloxの中での経済も作られている。
    一つのアイデンティティ、アバターを使って、ユーザーが作った色々な世界を行き来できる。ゲームAで購入したアイテムを、ゲームBにも持っていける。
    メタバースに近いがまだメタバースではない。
    Robloxの中でしか体験できない。
    マイクロバースと呼ばれている。メタバースの中の一つの世界、という意味。
    これがメタバース化するには2つの道のりがある。
    1つめはよりオープンになる。
    彼らが1クリエーターとしてオープンなメタバースの中で生きていく。
    例えばFortniteと相互交換性をもったりしながら共存していく。
    2つめは、全世界を支配するような大きなメタバースを作る。
    どちらも難しい。

    SF作品で描かれるメタバース

    誰かが支配する巨大な電脳空間という設定が多い。
    個人の考えで世界をコントロールする。
    現実的には、大きな危険性がある。
    メタバースを1社がコントロールするのは、その会社が神になるのと同じ。
    1社や1国が頂点に立つような構造は危ない。
    例えばインターネットは全てFacebookがコントロールする、となると色々問題がある。
    そこで、メタバースはオープンにする必要があると考えられる。

    オープンメタバース

    オープンにするには、ブリッジが必要。
    相互運用性。Interoperability。
    クロスプラットフォーム。
    例えば、今のデジタル世界はプラットフォームごとに「着替える」必要がある。
    - IDやアイコンやアバターがサービスごとに違う
    - サービス別にログインして、アイテムを購入する
    - 購入したアイテムは、別のサービスでは使えない
    *補足 現実では、家で着ている服装や持ち物を装着したまま、電車に乗れるし、会社にも入ることができる。会社の帰りに買った本を、公園で読むことができる。出版社や本屋が潰れても、買った本は手元に残る。
    これが、今のインターネットの世界ではできない。それぞれの空間ごとにログイン・ログアウトが発生し、ログアウトするとアイテムは使えなくなる。サービスが終了したら、購入したアイテムも消える。
    そこでクロスプラットフォームなどの話になる。オープン性が必要。
    そういう仕組みを作る会社が重要になってくる。
    Microsoft:昔はオープンソース否定派だったが、方向性が変わり、オープンソースが大事というスタンス。
    Amazon:あまり関係ない。
    Unity:ゲームエンジンも作っている。オープンメタバースに賛同している。
    オープンメタバースに対して批判的な巨大企業
    Google:Androidはオープンのようだが、そうでない部分もある。
    Apple:明らかに、オープンなシステムを嫌っている。クローズドなエコシステム志向。

    インターネットの歴史

    インターネット1.0

    オープンメタバースを「インターネット2.0」だとして。
    インターネット1.0は:
    1960年代から1990年代までは、政府研究機関や科学者やノンプロフィットが標準化されたプロトコルを作った。
    例えばメールシステム。
    最初のメールは、同時に接続した人同士じゃないと送信することができなかった(クローズ)。
    メール用のプロトコルを作ったことで、いつでも誰にでもメールを送ることができるようになった(オープン化)。
    *補足 POP(ポスト・オフィス・プロトコル):常に稼働しているメールサーバーにメッセージを預けることで、メール送信者とメール受信者が1:1で同時にインターネットに接続していなくても受送信が可能になった。メールの受送信に使う通信規約がPOP。現在はバージョン3(POP3)。
    この仕組みの上に、現在のGmailなどのサービスがある。
    今使われているWEBサービスの仕組みは、インターネット初期に定義されたインターネット標準(スタンダード)があって成り立っている。
    最初は誰もそこに広がる経済圏を気にしていなかったからこそ、全員アクセスさせようという思いが強く、お金儲けをする思いの人は少なかった。
    現在では、状況が変わってきている。
    メタバースは2020年にバズった言葉でもあり、お金儲けのチャンスと捉えられている。
    なので、政府の研究機関やノンプロフィットの領域でこれを開発する、という事にはならない。どちらかというと会社が作る。
    経済圏に繋がっているという事を理解している企業がこれを作る事になる。
    そうなると、どこまでオープンなものを作るのか、が疑問になってくる。
    *補足 メタバースが次のインターネット(インターネット2.0)になるという兆しが見えていて、ここでお金が動く事も想像できる。
    インターネット1.0はノンプロフィットがオープンな仕組みを作り、企業が徐々に乗り出してきた経緯があるが、
    インターネット2.0は最初から儲けを見越した企業が仕組みを作るので、利益確保のためオープンにしない部分が出てくるのではないか?むしろ企業のための独占的な世界になるのではないか?という懸念がある。
    今の大手インターネット企業は、全員、初期インターネットのオープンでスタンダードなプロトコルで作られたことは理解している。なぜならその上でサービスを作っているから。なのに、今のWEB2.0のサービスはほとんどクローズ。彼らは本当にオープンなものを作りたいのか?という疑問がある。
    その中で、Epicgamesなど、オープン化する方向性をもった企業もいる。
    オープンにすることで多くの人が利用できるというメリットもあるが、その反面、別の企業に利益を持っていかれる可能性もある。だからこそ、企業が作る世界はクローズドになりがち。
    でも、例えば今のインターネットが5社だけのクローズドで作られたとして。全アクションが課金制、ブラウザも2種類だけ。JPGをダウンロードするだけでも課金。PNGだとさらに別の会社への課金も必要。
    もしそういう世界だったとしたら、誰もインターネットを使わなかったかもしれない。ここまで発展したのはオープンで無料だったからという理由も大きい。
    しかし、今のインターネットは、アメリカの大手企業数社がコントロールしているようなもの。
    オープンメタバースという次のインターネットを作る上で、これはすごいハードルになっている。特にハードルなのはアップル。
    ---

    アップルとオープンメタバース

    オープンメタバースに対して、アップルはインターネットのゲートキーパー。
    自由市場で勝ち取っているビジネス:ハード。Mac/iPhoneなど。
    クローズ化で利益を上げている:ソフト。アプリストア。
    アップルのアプリストアはクローズドの世界。
    - アプリ配信の制限をしている
    - アップルのアプリストアでしか販売できない。
    - アップルが全てのアプリを審査・承認している
    - アップルだけの判断でアプリを流通させている
    - アップルの決済システムを使わないといけない
    - 30%の手数料を必ずアップルに支払う事になっている
    アメリカの10代はアイフォンが80%。またアイフォンの流れが来る。
    SMSでのチャットアイコン、iMessageは色が青い。
    一瞬でハードがわかり、学校でのステータスが決まる。アイフォンの方がかっこいいとされる。ほぼ差別要素。
    アップルが成長を止めている業界はクラウドゲーム。
    音声、音楽サービスはストリーミングが主体だが、ゲームは異なる。
    クラウドゲームアプリはアップルが禁止している。
    理由はセキュリティ問題とされているが…。
    アップルのアプリストアの売り上げ72B(7兆円)のうち、2/3がゲーム。
    ここにゲームバンドルが入るとアップルの売り上げが下がる。
    *補足 ゲーム提供する会社がクラウド経由で直接課金できてしまうとアップルが手数料を取得できなくなる。
    フォートナイト/EpicGamesの事例もここが争点。

    理由1

    かつてiTunesはデジタル音楽販売の70%のシェアを持っていた。(クローズドマーケットで売り上げを伸ばしていた)
    その後、Spotifyのようなストリーミングサービスが入ってきた結果、Appleもストリーミングを開始したが、Apple Musicは赤字ビジネス。シェアもSpotifyに負けている。
    この経験があるので、アップルはゲームのクラウド化を恐れているのではないか。

    理由2

    クラウドゲーミングは、古いデバイスでも最新版のゲームをプレイできる。
    最新のアイフォンじゃなくても最新のゲームが遊べるとなると、ハードの売り上げに影響が出る。
    そういうリスクがあってゲームバンドルを完全に許可していないのではないか。
    クラウドゲームはメタバースに向いていて、今後のコンテンツ作りの上でも重要だが、その発展をアップルが止めている状況。

    EpicGamesとApple

    2020年8月にEpicGamesがアップルの規約違反をして独自の決済(手数料分を割引して販売)をした件。
    4時間でBANされたが、その間にフォートナイトユーザーの半分が買った。
    4時間の間にダイレクトペイメンツの登録手続きを新規に行った上での課金。それだけの需要は確認できた事になる。
    EpicGamesの主張は、手数料30%が高いということと、アップルの独占に対するもの。
    例えばクレジットカードプロバイダーはアメックスやVISAなど多数の会社があって、手数料も様々で価格競争をしているが、結局1.5%、3%に着地している。
    EpicGamesのストアでは12%の手数料をチャージしている。
    運用コストは5〜7%、マージンで5%をとり、合わせて12%ということを発表している。これに対してアップルは独占プラットフォームで30%もとっていることについて、EpicGamesが指摘をした。

    オープン化のハードル

    Robloxは、スキン等の売り上げに対して、クリエイターに24.5%しか支払えていない。(アップルへも30%を支払っている)。それでも赤字だが、クリエイターへの還元をもっとしたいと考えている。
    もし、アップルが手数料を下げるのであればその分をクリエイターへ還元したいという開発元もある。
    - ジャンルが違うが、Substackのクリエイターへの還元率は90%。
    例えば:
    フォートナイトはGooglePlayStoreに出していない。直接、EpicGamesからDLするようにしている。これには20STEPくらいかかるが、Googleはこれを禁止はしていない。
    また、Windowsストアでは多数のアプリケーションを揃えているが、別のサイトからもDLできる。Microsoftはこれを禁止していない。
    アップルは、アップルのストア以外でのアプリケーションの提供を禁止しているが、今この姿勢は正しいのか?という疑問。
    Googleはアップルのデフォルト検索エンジンにするため、アップルと広告のレベニューシェアをしている。
    iOSのGoogle ChromeのレンダリングはアップルのSafariと同じweb-kit。
    アップルはiOS上のブラウザに制限をかけている。
    iPhoneはもはや単体のハードではなく、OS、ネットワーク、決済システムなどを含めたバンドル。
    アップルにもオープンソース・クロスプラットフォームの方向性に行ってもらいたい。(オープンメタバースを作っていくのならば)
    アップルはアップルのクローズ・メタバースを作り上げていくという事になるのかもしれない。
    アップルには、3つの事をしてもらいたい。
    1. Windowsと同じように、どのソースからもアプリのダウンロードを可能にすること
    2. 外部のアプリストアの存在を許すこと
    3. 開発者に決済システムを自由に選ばせること
    Appleがこれをやると、オープンメタバースに繋がる。

Comment

memofleet

  • 2022-06-11 Sat.

2021年3月のメタバース回前半のまとめです。
まだFacebookがMetaに社名変更する前のタイミング。
メタバースとは何か?という解説になっています。

オープンメタバースへの大きな壁(前半)- Off Topic #59

Off Topic #59
Original : 2021-03-24 Wed.
memofleet : 2022-06-11 Sat.

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